うちの病院は非常勤の医者が非常に多い上に大学病院からの1年間限定で若手も派遣されることがある
外来で働いていると本当に多種多様なタイプの医者に遭遇するのだけど、中には本当に対応が難しいというか面倒くさい医者もいる
その中に言葉少なに指示を出す、「察して」ほしい医者がいる
こんなことがあった
ある日の内科外来
学者肌で寡黙なO先生から外来歴1年程度の後輩看護師が唐突にこう言われた
2階(病棟)に連絡して
これだけ
もちろん言われた看護師はなんのことやらさっぱりだし、そもそもその電話が病棟スタッフにつながったら先生に渡せばいいの?ということすら謎
当然質問する
えっと、、なんのことでしょうか?
(イライラした感じで)いいから連絡して!
という感じで答えはもらえず、よくわからないまま病棟に連絡する羽目になったそうだ
このやりとりの後、その看護師はO先生のことが一気に苦手になってしまったそうだ
うん、気持ちはよくわかるよ、災難だったね
どうすればよかったんですかね?
対処①とりあえず言われた通りにしてみる
相手は「病棟に連絡しろ」と言っている
なので「わかりました」と返事をしてとりあえず電話する
これが一番簡単だ
相手先には「O先生が御用があるみたいです。代わります」とか言えばいいと思う
意味は分からないし、相手先には要件の詳細も伝えたいから困るし、相手先から自分がどう思われるかも気になりまくるけど、最短でお願い事を叶えることはできる
対処②最小限の質問をしてみる
後輩看護師は「なんのことですか?」とかなりざっくりとO先生に質問した
でも、知りたいのはそこじゃないはず
「電話して、どうすればいいの?」あるいは「どんな要件の電話なの?」が知りたいことのはず
だったら
「繋がったら電話代わればいいですか?それともなにか言付けがありますか?」
と聞いたらそのどっちかの返答は得られたかもしれない
ざっくりとした指示を「A or B」のクローズドクエスチョンにして投げかける
ちゃんと指示をくれないなら、もらいに行くのだ
ざっくりにざっくりで返さない
対処③なんで連絡したいのか推測してみる
正直難易度は高いし、対処①、②で乗り切ればいいとは思う
でもO先生のような「察して」タイプの医者は基本的に不愛想だし、懇切丁寧に指示を出すなんてことはまずない
今後も同じようなことが多々起きるし、そのたびに後輩看護師は傷つき
「あの先生苦手、ていうか嫌い」となるのだ
そういう状況で双方を橋渡しできるように私はできる限り相手の状況を推測するようにしている
例えば、冒頭とは別の場面でほぼ同じ状況に遭遇したわたくし
この時、O先生は病棟の担当患者のカルテを見ていた
それを見て、『ああ、Aさんのことで病棟に連絡したいのか』と推測する
で、その患者のカルテを開いてみると…
病棟担当看護師から点滴指示出し要請のコメントが入っていることを発見する
で、すかさず質問
「Aさんの点滴の件ですよね。担当のB看護師につないだらいいですか?」
「つながなくていいから、もう点滴は終了って言っといて」
まあ、不愛想なんでお礼なんてないし、よくわかったね、なんてコメントも特にないが
「当たってた!!やってやった!」という達成感が得られて、私は割と好きな対処法だ
ちなみに間違っているときは明確に「違う!」と言われ、正しい要件を教えてくれる確率が上がる
相手だって見当違いのことをされては困るからだ
成功した場合は地味にO先生からの心証も上がっているので、多少コミュニケーションがしやすくなったりもする
今後の仕事のやりやすさにも影響するので、こういったちょっと面倒な医者から地味に点数を稼ぐって大事
「察して」ほしい医者には質問の仕方が大事ってこと
この手の人たちにわかりやすい指示や愛想を求めても無駄
いかにうまく情報を引き出すか、に注力するとこちらもストレスも減る
ざっくりにざっくり返すのは何も進まないのでやめときましょ
ざっくり指示出す人は指示に「相手にわかりやすく指示を出す」ということにエネルギーを使いたくない人か、あるいは「こんなのわかって当然だろ」と思ってる人が大半だと思う
今の指示、こう解釈しましたけど合ってます?
っていうメッセージを添えた質問を繰り出せば双方の解釈の溝を最短で埋めらるんじゃなかろうか
「ほんとあの人、意味わかんない!!」という気持ちもよくわかるが、相手は変わらない
その感じでウン10年生きてきて、ウン10年?は医者をやってきているのだ
こっちが出方を変えて、「あんだけの指示で察してやったわ、ふふん♪」とご機嫌に仕事をすればいいと思う